たぶん絵的なBLOG

画材店の店主がつづる絵画や画材のあれこれ

竹田陽一、栢野克己著『小さな会社★儲けのルール』

小さくとも個人事業を始めるにあたって、何か起業の本を読んでおこうと本屋さんで見つけた本。中小零細経営者へむけた経営戦略本ということになるのだが、内容はいたって具体的、かつ実践的。なるほどと思うことや目からウロコのことがらなど、実戦に役に立つ考え方を学ばせてもらった。


まったく関連なく購入した別の本に栢野さんの『弱者の戦略』が本棚にあった。じつは上記の本の著者の一人であることは後で気づく。パラパラと読んでいたら、じつは上記の本を上梓するいきさつが書かれていて、これまた別の意味で深い感銘を受けた。この栢野さんの人生は、並大抵ではない。どういう意味で並大抵ではないのか、とにかく負け組みそのもののような軌跡がつづられている。第3章の冒頭は、こんな書き出しだ。

私は典型的なダメ人間でした。ニートに近い姿もあったし、就職してすぐやめる人間の元祖でした。就職経験は六社ですが、いずれも三年と続いたためしがありません。最短は九ヶ月で、しかもダメ社員でウツ退職。
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弱者の戦略―人生を逆転する「夢・戦略・感謝」の成功法則
第3章 四十代まで自分の天職がわかりませんでした より


表題の本の出版は、竹田陽一さんの講演会や著作をまとめてやさしく解説するため栢野さんが執筆した著作らしく、始めは竹田さんのゴーストライターになる覚悟で執筆、やがて欲が出て共著者にしてもらったといういきさつ。なんとも格好悪いうえに泥臭くて、そんなあからさまな生き様に感銘を受けてしまった。またこの本に登場する、やずやの社長矢頭さんのエピソードも大変面白い。(ご興味のある方はお読みになってください。)


さて表題の本には、起業しようとする人間が陥りやすい過ちへの警告がたくさん出てくる。商品の市場規模が大きければ儲かる、といういかにも評論家の言いそうなウソ。市場規模が大きければ、お客さんも多く、強い競争相手も参入するというわけ。だからこれから伸びそうな商品に手を出してはいけないとある。つまり大手がバカにする業種・商品をねらわなくてはいけない。


また、うちは何でもやります、というスタンスが最もよくないとも。「うちは○○専門」とすると得意技が明瞭になり、売り先が見つかるということだ。たとえば「小さい靴専門」、「夜間専門の人材派遣」などなど。何でも扱うのは強者の戦略で、弱者は扱う商品を少なくし、業種の幅も狭くしなければならない。


同様にエリア戦略でも、都会より田舎。しかも誰も行かないエリアをねらうのだと書かれている。

「一騎打ち戦的エリア市場」とは、たとえば、海や山や川など自然の障害物で分断され、地域の独立性が高く、しかも市場規模が小さいところをいいます。
つまり強い競争相手がいない場所というということです。
離島、半島、入り江の港町、盆地、谷筋、山すそ、川べりの市や町などなど。人口が多い市の中でも、県境の市はあまり行く人がいないので穴場です。
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小さな会社・儲けのルール―ランチェスター経営7つの成功戦略
儲けのルール3 より


長崎県対馬で8万頭のイノシシを退治した「陶山訥庵のエリア戦略」の話も大変面白い。島を徹底的に小エリアに分断して、そのひとつひとつを確実にイノシシ退治する。これを繰り返して全滅させたとのこと。これを実践してきたのが事務機の「大塚商会」だそうだ。


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