たぶん絵的なBLOG

画材店の店主がつづる絵画や画材のあれこれ

築山節著『脳が冴える15の習慣』生活人新書 NHK出版

どうも「脳」本に弱いなと思う。以前にも書いたが、自室の本棚を振り返ると
脳に関連した本がズラッと並んでいる。こういうジャンルが果たしてあるものか不明だが、
自分の本棚には、れっきとして存在している。
そしてまた一つ買ってしまい読んだ。面白かった。


築山さんの文章には、時々ドキッとさせられる。脳神経を専門とする先生だから、
こちらの脳の働きや衰えのパターンを熟知して、脳に刺激のある言葉をあえて発しているのかも知れない。
そんな言葉につられて、店頭で拾い読みをしている時から、もうこの本を読み始めていた。
何の疑問も迷いもなくレジへ持っていく。まるで魚が釣られるようだなと思う。


『家事こそ脳トレ、雑用を積極的にこなそう(習慣4)』が、特に刺激的だった。
ところで、この本には章の番号がない。こういう表題の章なのだ。

前頭葉を鍛えるときには、状況に対して、より速く判断できる、的確な対応が考えられるという
いわばテクニックの部分を鍛えるのももちろん大切ですが、それ以前に重要なことがあると
私は考えています。

そうそうこんな調子で、何だか期待させて読ませてしまう。築山さんは名文家と言ってよいと思う。

それは、指令を出し続ける体力を高めることです。
・・・
再びサッカーにたとえて考えてみると、どんなに有能な司令塔でも、九十分のうち五分しか
活躍できなかったら、実戦では役に立たないでしょう。ともかく、九十分間ゲームをつくり続けられる
司令塔のほうが焼くに立つはずです。
   《やればできるのにやらない人》p61

昔、頭がよいというのと、頭が強いというのがあると読んだことがある。
強いとは体力のことで、脳の働きにも体力、つまり持続力というものがあって、
これが重要ですよということらしい。

前頭葉が指令を出し続けられなったとき、次に人間を動かすのは感情系の要求です。
つまり、面倒なことはしたくない、楽をしたい、人任せにしたいという、脳のより原始的な
要求に従って動いてしまう。結果的に、前頭葉の体力が落ちてくると、やればできるのに
やらない人、自分を律して主体的に行動するよりも、人から命令されなければ動かない、
感情の要求に従ってダラダラ過ごす時間の長い人になってしまいます。
    同p.61-62

何だかヤバイ話になってきた。自分の脳もできれば楽したい、考えずに済ませたい、
自分から主体的に考えることがシンドイと感じるところがあるのだ。

多くの現代人が衰えさせているのは、おそらく前頭葉のテクニック的な部分よりも、
指令を出し続ける体力です。
    同p.62

前頭葉のこのような体力を鍛えるには、雑用をバリバリとこなすことがよいとある。
面倒臭さに耐えるには、部屋の片付けや家事をするのがいちばんいいとも。
何だか耳が痛い。
これは、きっと脳細胞にいい刺激になっている。