たぶん絵的なBLOG

画材店の店主がつづる絵画や画材のあれこれ

低空飛行が続く

先日、久しぶりに会社帰りに、「古書上々堂」に立ち寄った。この古書店は、コミックやら日常雑誌は置かない、だから子供は相手にしない、中高年以下はお断りだ(と思える)、色でいえば渋いブラウン、芸術系が多く、絵画、文学、詩、音楽、哲学、思想などの古書が並ぶ。上々堂の主人のBLOGもあるのだが一切コメントには返事がない。ときどきは偵察に行く変わったお店。バッハのブランデンブルグ協奏曲の3番だったか、静かにかかっていた。


結局、買わないつもりだったのに、あれこれと仕入れてしまった。
1.マクサンス・ラリュー『フルート名曲集 精霊の踊り』300円 これCD。
2.主婦の友社編『臨終の言葉 時代を生きた258人 最後のメッセージ』105円
3.H・クッファーバーグ『基本はバッハ』音楽の友社 900円


ラリューのフルートは昔から、名前だけ知っていたが本格的に聴くことはなかったなと手に取る。ランパルのようにフランス流の甘美な音色を特色とする香りだが、ランパルほど芸人的ではなく端正な感じ。上品で上手な吹き手。
でもドイツやスイス系の渋くて暗く重い音色とはハッキリ違う。若い頃から、オーレル・ニコレや、グラーフに親しんだ者として、もう少し音に芯が欲しいと思った。そうすれば、パウル・マイゼンに似るかもしれない。


『臨終の言葉』は読んでいてしばしば泣けて、このところ気分が凹んでいるところに持ってきて、なおさら身に沁みた。いやこういう低空飛行だから、こんな本を手にしたのかな。自分よりはるかに若い年齢で最期を迎えている人々がたくさん出てきて、堪える感じがする。

《は・や・く・・・沼田に帰りたい》

女優 夏目雅子

病床で、乾いた口をかすかに動かしながら残した、最後の言葉。「沼田」は、夏目の母親の実家だった。「子供の頃、よくドロンコになって遊んだこと。3年前、夫の伊集院さん(静・作家)と来たときのことを思い出したのでしょう」と、伯父の山本喜好。白血病との、210日にわたる闘病の末、昭和60年9月11日、肺炎にて死去。27歳の惜しまれる死だった。

臨終の言葉―時代を生きた258人最期のメッセージp.197
Amazon(参考)


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