たぶん絵的なBLOG

画材店の店主がつづる絵画や画材のあれこれ

事業仕分けに参加

信州型事業仕分け第2回目が、9/3(土)〜5(月)の3日間の予定でスタートした。伊那会場で行われた初日に、判定人として参画してきた。
開会式の会場にはインターネット中継や取材陣が多数詰め掛けていて、ちょっと物々しい感じだった。ふと資料から目を上げると、阿部知事が到着したところで、やがて挨拶が始まった。


従来の国の事業仕分けの際には、仕分け人が事業の妥当性を議論を進めるとともに、事業の今後の方向性を判定する結論付けも行っていた。
信州型の新しい試みとして、仕分け人と判定人を分けた。自分の立場は判定者だが、仕分け人と提案者の間で繰り広げられる議論をその場で聞き、最終的に判定シート用紙に、事業廃止、根本見直し、要改善、継続拡大などの大まかなくくりで判定結果を記入する。さらにその判定の根拠理由を書き、さらに自由文でコメントを付記するという流れだ。判定人は、十数名から二十名参加する。


仕分けの議論が終了した後、この判定シートを集計してその結果を要約してコーディネータがその場で公表する。そして最も多数意見であった方向性を決定し、結論とするというプロセスをたどる。


自分が参画したのは第3班、行政運営分野で、5テーマがあげられている。統合型地理情報システム事業から、消費者相談の拡充事業、職員宿舎管理事業などが議論された。


根本見直しが必要だなと強く感じたのは、最後に議論された、職員宿舎管理事業だった。詳細には触れられないが、県内に分散する地方事務所等に勤務する職員のための宿舎を、相当な数量、昔ながらの住環境を想定して、昔ながらの方法で継続維持している。その費用は年間予算10億円を優に越える莫大なものとなっているのに対し、時代に合わせて合理的に、無駄が生じないように維持管理する視点が欠落していたように見えた。


長野市松本市のような民間アパート、マンションの多い都市部での職員宿舎への入居率が80%から90%と高いデータが示された。議論の過程で明らかになったことは、都市部の民間アパート、マンションの家賃相場に比べて、職員宿舎の家賃が、相当な低価格だからだ。70m2くらいの物件ならば、7万円/月くらいかかる家賃が、宿舎に入れば1万台ですむ。


その差額は、入居する職員のふところに入っているわけで、手厚い手当て(お手盛り手当て)と言われても仕方ない。原資は県民税で徴収された税金なのだから、正当性がない。議論が集中するのも当然であった。


いっぽう地方の過疎地域では入居率が低く、50%台からせいぜい70%まで。県側は、過疎地域では民間提供の住居が乏しいので、県の宿舎を整備維持していく必要性があるのだという説明だった(たぶん、この言い方、長年お題目のように唱えられてきたのだろう・・・)。しかし入居率が低いのは地方の方なのだから、その説明は破綻している。


担当課長の言葉からは、そのことを疑問に感じることがないばかりか、長期の運営方針すら立案していない様子すら伺えた。民間企業では寮社宅は廃止していく傾向にある。それは時代環境が変化し、状況に対応しているからだ。この宿舎の管理事業は、無駄に税金を使って、身内にお手盛りしているといわれても反論の余地はないだろう。金は経営努力から得られるのではなく、税金から入ってくると信じているところが、まさにお役所的。


帰りがけに何社から取材を受けた。信州型と呼ばれる事業仕分けは、多数の県民を巻き込む参加形態で、県政を身近に肌で感じ議論するという点で、有意義だというのが感想。

読売新聞http://www.yomiuri.co.jp/e-japan/nagano/news/20110903-OYT8T00804.htm


(本記事は、あるコミュニティーサイトの自分の日記に記載した文章を転載しています)