たぶん絵的なBLOG

画材店の店主がつづる絵画や画材のあれこれ

ポストサラリーマンのことを考え続けた

約1年前に会社を早期退職し、個人事業を始める道を選んだ。しかしそこへ至るまでは迷いに迷った4年間くらいだった。自分の手帳には思いつくあらゆるポストサラリーマンの姿を記したメモが残っている。夢はあるが実現性の乏しいもの。バクチ的なもの。堅実だがはたして飽きっぽい自分が生涯続けられるのか疑問なもの。いずれの項目も種々の側面から検討が加えられ、書き込みがなされ、やがてひとつふたつと「ダメ」の烙印を押されて赤線で消され、結局どの道も無くなった。ふたたび何か可能性がないかを探しては書き込む。そんな繰り返しの何年かを送った。


とりわけ退社する直前までの11年間は、東京本社へ単身赴任(これを逆単身赴任、略して逆単という)の生活を送っていた。定年後に同じ会社との再雇用契約を選び、家内を長野の自宅に残したまま単身赴任を続けることはあり得ないし、経済的にも成り立たない。そんなことからも当時の生活状態から出口を探さなければならない圧力にされされ続けていた。いつかは崖から新天地に向けて飛び降りなければならないのに、どんな地点に着地するのかが決らないまま、時間だけが経過していく。焦燥感が募っていく。毎朝、歯磨きしながらこんな単身生活をいつまで続ける気なんだ?と自問していた。


手元には、当時のシステム手帳の数ページ分がある。書いては朱記して訂正し、最後には消しているボロボロのページ。過去の苦闘の記録に過ぎないが、まちがいなく現在の自分の一部となった紙片群。