たぶん絵的なBLOG

画材店の店主がつづる絵画や画材のあれこれ

久しぶりに印刀を握る

まだ開店していない画材屋だが、先生や知人の紹介、それに口コミで、毎日のようにお客さんが来店されたり話をされ注文をいただく。先日は友人から紹介されたN先生の知己を得ることができて、さらにたくさんの注文をいただいた。


また、お店では書道関係は商売されているのですかという問い合わせがあり、詳しいお話をうかがうと落款を彫ってほしいという依頼だった。若い頃、ある書道会に所属して篆刻を習い、免状までいただいたので、いちおう彫ることはできる。商売の足しになればと思い、打ち合わせをさせてもらい依頼を受けることとした。納期1週間。


篆書の辞書を引っぱり出し、書体を調べデザインを決定した。石をヤスリ掛けして平面を出し、印面に裏返しの字を書き入れる。そして久しぶりの印刀だ。数本所有している中でとくに細かい作業に向く印刀を握る。彫っては印影をチェックしさらに修正を加えていく作業を続ける。ほぼ95%くらい完成した。


若い頃に彫っていた感覚は手に染み付いているらしい。何の違和感もなく手が動くのが不思議。とくに左手で石を支えたり角度の調整をするので、左手の感覚がとても重要だ。自転車や水泳など体で覚えた運動感覚というのは、どこか脳細胞の回路に組み込まれてしまうらしい。いつまでも消えないもののようだ。反面、本を読んで判った気になっても、体の運動を伴わない知識、情報はどんどん忘れてしまう。


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