たぶん絵的なBLOG

画材店の店主がつづる絵画や画材のあれこれ

思い上がりなんじゃないか?

(2012年1月30日 BLOG記事より)

 

日頃、気になる言い方について。

 

TVのCMなどで、商品をアピールしようとしてよく出てくる言葉。

「地球にやさしい」何たらかんたら・・・車とかに多い。

 

こんな思い上がった言葉はないのに、感覚的にはなんとなく善の香りがして心地よく受け止めてしまう。恐ろしいね。

 

親や大人が、子供や初心者にやさしい態度で接するという言い方は正しい。しかし、地球にやさしいという時、地球のことをまるで人間が好き勝手にできる所有物であるかのように言う。この胡散臭さはたまらない。

 

そのくらい人類は自然とか、地球に対して、ゆがんだ感覚を持って接している。やさしくしないと地球はガラスのように壊れてしまうかのようだ。しかし壊れてしまうのは、やりたい放題やってきたそのつけを払うことになる人類の方である。

 

地球はどんな天変地異が起きようが、相変わらず地球で、そのことは変わらない。巨大隕石がぶつかろうが、放射能に汚染されようが、地球が破壊されてしまうことはない。そういう46億年の長い歴史を経ている。ただ人間が住める環境であるかどうかは保証しない。

 

M9の地震が起きて大津波で壊滅的な被害を被ったばかりの日本。自然の力の巨大さ、人間の(文明の)無力さを、報道映像で思い知ったはずである。この地震、地球にとってはクシャミほどのことである。地球にやさしくと言っている人間の思惑に関わりなく、地球は地球の物理で動いているだけだ。

ほんとうは、荒れ狂う自然の脅威の前で、幸運にも生きながらえているのが人類ではないだろうか。

 

人間のちっぽけな知力で、自然界を全部わかってしまったかのように思い、地球を守れると思うのは、救いがたい妄想と思う。こういう思い上がりの気持ちは、結局、自然を甘く見て、災害対策の甘さにつながる。

 

われら人間にやさしい車、われら人間にやさしい洗剤といってもらいたいものだ。