たぶん絵的なBLOG

画材店の店主がつづる絵画や画材のあれこれ

事業仕分け 続編

信州型事業仕分けの初日テーマの中で、とても印象的な事業があった。それに触れてみたい。

事業名は、「消費者相談の拡充事業」。
いわば消費者が物品売買や、振込み詐欺、アダルトサイトへの勧誘などで、被害を受けた際の県民の相談窓口の充実に関するものだ。


平成22年度の事業費の中で、専任の県職員は7.3人、県消費生活センターを5箇所開設し、維持管理している。また県職員とは別に、消費者相談員なる人たちを委託事業で県内に17名配置している。
この事業は、平成21年度から3ヶ年計画で充実強化していくことを目的にしている。


不思議なことに、県が受け付けた相談件数が年々減少している。データによると、H20年度は19,745件、H21年は16,326件(-17%減)、H22年度は13,150件(-19%減)と減少傾向が顕著なのだ。


県民側から見ると、相談窓口は2つある。県の相談窓口と、市町村の相談窓口が併設されているのだ。一般的な相談は市町村で、高度で専門的な相談は県で受けることになっている。しかし、比率にすると、県が受ける相談件数が全体の74%と高く、市町村は26%程度。(仕分け対象になっているのは県の方だ)


では、市町村の相談件数が激増しているのかというと、やはり減少していて、H20〜H22年度データは、6247件、6103件、5441件と減る一方なのだ。


相談案件の内容に入ると、アダルトサイト、出会い系サイトに関するもの20.6%、多重債務問題14.2%、賃貸アパートに関するもの4.0%、未公開株にかかわるもの3.9%という順になっている。


で、当然のことながら仕分け人から質問が出ていた。では、この件数の減少を県はどう捉えているのか、件数が減って来てよいことだと見ているのか、詐欺等の発生が減少している背景があるのか?
すると決して減ることはなく、むしろ犯罪等は増大していると捉えているとの回答。また消費生活センターを新設したときには、相談は増えるという回答であった。


どうやら相談に出かけたい消費者は多いと想定されるにもかかわらず、それを受け取る仕組みが出来ていないか、弱いのではないかということらしいのだ。新設センターができれば相談に訪れる人が増えるということは、相談案件の掘り起しができていない現状の裏返しではないのか。


しかし、この質問への明快な答えを聞くことは出来なかった。
つまりはよくはわからないが、尻つぼみの状態だということだ。また市町村での受付と、県の受付の役割分担も明確でなく、どうすべきだというビジョンも持っていない。


女性の課長さんがおもに仕分けの議論の受け答えをしていた。受けた印象なのだが、消費者を守り抜いていくのだという気概が感じられず、代々受け継いできた仕事なので、まあ、新しい冒険などせずに継承してやっていますという言葉が顔に書いてある印象。


ふつう民間企業だったらこういう状況や人を、無気力、無関心と呼ぶのだけれど、そんな状態に陥っているように見えた。県民の利益のために働こう、それを働き甲斐にしていこうとは考えていない様子でちょっと残念な討議だった。


自分の判定は、現行継続・充実としたが、判定人の大多数は要改善だった。どのような指摘であるにせよ、まずやる気を出して県民のために働くというところが肝心と感じる。そんな判定人の気持ちが果たして届くのか微妙で、この課長さんの無気力感はどうにもならないなぁ・・・とも感じた。課長さんが交替するのがいちばんだったかも知れないなぁ。


(前記事と同様に、本記事もあるコミュニティーサイトの自分の日記に記載した文章を転載しています)