たぶん絵的なBLOG

画材店の店主がつづる絵画や画材のあれこれ

原子力発電に思う

今回の原子力発電所の事故により、放射線を放つチリが外部にも漏出して、周辺の県にまで拡散していると伝えられています。とくに驚いたのはビニールハウスの中で栽培しているほうれん草などの野菜にまで基準値以上の放射線量が検出されていることです。これほど早い段階で影響が出ているということは、土壌からの浸透による汚染とは考えにくいし、まず放射線を放つチリの飛散によるものと考えざるを得ません。ハウスのビニール程度では、チリへのバリアにならないことが実証されてしまいました。


原子力発電の設置に際しては、2重3重の安全機構をかけているから、ほぼ完全に安全です、という説明がなされてきました。専門家ではないわれわれは、それを信じるしかないのですが、今回の事故の推移を報道などで見聞きしていると、2重、3重といってきた安全な機構とは何を指しているのかあいまいに感じます。2重3重の意味や、具体的に何を指しているのかを公開して、第3者による検証をおこなう必要性を感じます。


今回のような大地震津波は想定していたレベルをはるかに越えていた、という説明になるのでしょうが、では設計時にはどんな事態が想定されていたのでしょうか。地震レベルは震度いくつまでで想定していたのか、津波は何mまで想定されていたのか、テロ攻撃に対してはどうだったのか、飛行機事故で発電所内に墜落しても大丈夫な設計と構造になっているのか・・・


2重3重の安全装置といっているものが、ひょっとして非常に専門的で内部に閉じこもったような小さい話なのではないかと危惧と不安を覚えます。原子炉設計に関して、その発電機能や放射線漏れに限定した安全設備というなら、今回のような事態は繰り返される話になります。いわゆる「発電屋さん」という専門家が考える限られたせまい検討範囲では、今回のような災害時には力不足で、大災害、テロ、戦争などのリスクを含めた国家の安全レベルを視野に入れる範囲でなければ、本当の安全とはいえないでしょう。あるいは宇宙ロケットで有人飛行をする際の、ありとあらゆる事態を想定した安全対策マニュアルのようなシステム的な検討の跡があったのかどうか不明です。


素人考えに近いのですが、発電所は地下深いとことに設置して、基本的放射能を外部拡散させない構造がいいと感じています。安全対策の最後の手段は、水による封じ込め(水没)です。とうぜん安全を確保すればするほど、建設、維持コストは膨大になり、東電という企業の負える範囲を越えるかも知れません。でも今現実に起きている事態は、ひとつの企業どころか日本の命運すら危険にさらすものとなっています。原子力発電という事業はやはり国家レベルの安全検証などがなされるべきで、運営、維持管理もそれに対応した組織が必要と感じます。



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