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福島原発事故の推移

日増しに危険度と深刻さを増している原発の状況です。海外における原発の安全性評価を行う機関は、今回の福島原発事故チェルノブイリ原発事故に次ぐ深刻度であると報じています。

科学・国際安全保障研究所(ISIS)は15日、東日本大震災に伴う福島第1 ... 番目の「レベル6」に近く、旧ソ連チェルノブイリ原発事故と同じ最も深刻な「レベル7」に達する可能性もあると指摘した。
毎日新聞 2011年3月16日 10時10分毎日.jp

フランスの原子力安全当局(ASN)は15日、福島第1原子力発電所での事故について、国際基準で定められているレベル7までの分類のうち、レベル6に該当する可能性があるとの見解を明らかにした。
2011年 03月 15日 23:33 JSTロイター

東京電力の説明をTVなどで聞くと、そんな事態の深刻さが伝わってこないのが奇妙です。当事者だけが知りうる技術データにより、外部で騒ぐほど事故の現状・評価はそれほど酷いものではないと判断しているのか、わかりません。

あるいは想像もつかないほど深刻な危険の到来の足音を聞きながら、ひたすら危険度の低い状態であって欲しいという強い要望が、事態を甘く見させていて、客観的な判断を行うことをにぶらせているのか、このへんも懸念されるところです。

むろんパニックや混乱を避けたいとかいう配慮が作用して、記者会見などでは言葉を選んでいることは否めません。そのことがかえって事態をわかりにくくしているという怒りの声が上がっている場面もありました。希望的観測を聞きたいのではない、事実を知りたいのだという声です。すでにそのパニックが起きてもおかしくない事態がすぐそこに接近しているのではないか、そんなことも思います。

もと技術者の端くれとして、とても不思議に思うことがあります。想定以上の大きな津波が到来したことはわかりますが、あっさり津波にさらわれてしまうような電源設備の脆弱さです。

そもそも電源設備というのはどのような防護壁で守られた設備だったのだろうか、よく見かけるような立ち入り禁止の金網の中に設置された設備だったのだろうか、とても不思議に感じます。チェルノブイリ事故に匹敵する事態を巻き起こす引き金になっている電源設備とは、どのくらいの安全性を確保していたのだろうかという疑問。

もうひとつ、バックアップ電源もなかったのだろうかという疑問です。外部からの電力供給が停止してもある一定時間だけは、自分の後始末ができるだけの自己発電設備を準備していなかったのだろうかということです。

電源設備も、炉と同等の堅牢な壁に保護されたものでなければならないだろうし、完全に外部から遮断された地下に設置されていても当然ではないかという疑問も感じます。津波でなくテロの危険も想定する必要があります。

ともかく事態がどうかレベル7に到達しないことを願うしかありません。それに事態を客観的に把握して、適切な処置を命令、実施できる強力なチームが必要です。どうかそのよに適切に動き対処していただきたいと祈ります。


(追記)

この記事を書いた後に、TVで特集番組が放映され一部詳細な情報が提供されました。それによると、非常電源設備は海側の地下に設置されていて、津波第1波に対しては無傷であったらしいが、巨大な第2波の津波により、この設備に浸水し電源設備は機能を失ったとのことでした。

費用はかかりますがこのような原子炉は、地中に設置すべきものではないかと感じています。緊急時には遮断弁のような構造で地下に隔離したうえで、自動で海水注入されて水封されるべきものだと思いました。

またこのような国民を巻き込んだ緊急事態に発展した際には、民間企業である東電に事故対処のリーダーシップを取らせるのではなくて、国民を守るという観点から指示、行動できる権限を付託されたチームの長があたるべきと強く感じます。利益団体である企業の東電に、このミッションを押し付けている「異常さ」を感じます。



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