たぶん絵的なBLOG

画材店の店主がつづる絵画や画材のあれこれ

木炭デッサン〜カッパビーナス〜

昨日は絵画教室。ようやくカッパビーナス像のデッサンが完了。前回は首から下を描いたが、今回は顔および頭部を仕上げた感じだった。背景は描かなかった。先生のOKもいただいた。



カッパビーナス像 木炭紙(650×500mm)に木炭


今回ほど勉強になったデッサンはなかったと思う。これまでデッサンは何とか描けるという自負も多少持っていた。それがまだまだ上の世界がある、見えていなかった部分があると自覚することができた。


ひとつは木炭という素材の扱いや定着に関して。紙にすり込んだときと、ただ擦っただけの浮いた木炭の状態などがある。紙の繊維の中に木炭粉が入った状態と、繊維の上にのっただけでは、トーンの調子はかなり変化する。そんなことに気づくのも勉強だった。


もうひとつ、これこそ本質的なことがらだが、物理的に眼の中に光線は入っているのに、脳ではそれを見ていない(見えていない)ということがある。見るという行為は、物理的な光信号を、神経回路で伝達して脳の中で再構築し「見えている」と解釈する仕組みだろうと思う。この再構築の仕組みが荒削りで訓練不足のため、光の量が微妙に異なっているのに同じ光量だと思い込んでいる。眼には見えているはず。でもそれを脳で知覚しない。錯覚というべきかもしれない。


これまで木炭デッサンを6枚ほど描いた。すこしお休みして、アクリル画を再開しようかと考えている。これからどんな風に描けるだろうか。