たぶん絵的なBLOG

画材店の店主がつづる絵画や画材のあれこれ

現場での鉛筆スケッチ

野外教室で、生徒さんに自分のスケッチブックを見せながら、こんな構図で、ここに注意しながら描きましょうと手振り身振りでサンプルでスケッチしたものがいくつかある。もったいない気がして、あとになり現場の風景を思い浮かべながら、鉛筆を入れて仕上げる。たいていは、大きな明暗のトーンを調整したり、現場では描ききれなかった細部の描写だ。


先日炎天の中、東伊那のふるさとドームに出向き、思い切り広い風景と向かい合った。おそらく風景画の中で最も描きにくい対象だと思う。遠景ばかりが広がり、自分との間にあるのは空気だけ。はるか向こうには中央アルプスの山並みが見えて、その手前の広がりは駒ヶ根市の市街だ。


無理やりでも手前の何かを描いて、画家の立っている場所を定めなければならない。近くの樹木や小道を描き入れる。そこから何kmも先の風景につなげていく。絵を見た人がその中を歩いていったりできること、視点を導いて、風景の中に誘い込むことが必要だと思う。


結局、この絵では中間にある林の連なりが主題とするのが治まりがいいようだ。林のトーンに注意しながら詳細を描き込んだ。


マルマン F4スケッチブック 鉛筆8B、4B、2B、HB、2H、4H 
1hほど