たぶん絵的なBLOG

画材店の店主がつづる絵画や画材のあれこれ

変化を恐れる

ある本を読んでいて、ハタと気づいた。日常生活がパターン化すると人は容易にそこに座り込んでしまう。脳は怠惰で安定を求める性質を持っているから、余計な苦労はしたくない。現在の安定した日常に変化を求めないのだ。変化を(ほとんど)恐れていると言っていい。

たとえば、知らない人に会ったり、知らない場所に出かけたり、新しい役割や責任を引き受けたりする際・・・
p.62


何でもいいが、地区の人が集まって役目を決めなければならないときなど、人選の困難さにいつも直面する。だれもが黙りこくり、自分はイヤだが、誰かが手を上げてくれないかと待っている。場を沈黙が支配し時間だけが過ぎていく。自分も同様にこの静けさに耐える。


こういうときの心理状態がよくわかった。つまりは変化を恐れているのだ。何が起きるのかわからない、どんな役目をすればいいのかわからない。とんでもなく恥をかくかもしれない。かかないかもしれないがハッキリしない。余計な事柄が始まったのだ。平穏を乱さないで欲しいという本音。


たぶん脳は未知のことを恐れ、変化を恐れ、現状を維持しようとする。年を重ねれば、種々の経験が邪魔をして、新しいことは避けたいのはなおさらだ。


その本は、警告している。

人は知らず知らずに日常に埋没してしまいます。いつしか大切なものを見失い、本来の目的を忘れて手段のみを繰り返す「無目的人間」になっていってしまうのです。
p.60

出展:佐藤富雄著 超人手帳より