たぶん絵的なBLOG

画材店の店主がつづる絵画や画材のあれこれ

最近の内的ヒット

銀花 2010年 03月号 [雑誌]に、「式場庶謳子の版画世界」という特集が組まれている。これまでこの方を知らなかった。強く惹きつける形態、荒々しさ、情念。なぜこのような形が生まれるに至ったのか、それを知りたく思う。
文中で式場庶謳子の言葉が紹介されている。

たいてい私は、自分のために作品を作っているのです。病に苦しんでいたり、悲しみに打ちひしがれていたり、そこからはい上がり元気になりたくて、版に向かうことが多かった。生きるために版画を手がけているのです

P.6

自分のための作品というスタンス。
絵画はあるときは公募展でひとから評価をもらうための絵であったり、周囲におのれの名を知らしめる手段であったりしている。どのように見えるのか、どう見えたらよいかを考える。その積み重ねの終着駅と、式場庶謳子さんのような、ただ自分の中の祈りの声に耳を傾け続けた到達地点とが、いかほど異なるものになるか。
作品「念ずる人(2)」が、気になって仕方ない。それで「銀花」を買った。
よく見ると銀花の最終号だった。