たぶん絵的なBLOG

画材店の店主がつづる絵画や画材のあれこれ

人物デッサン その3

昨日の絵画教室は、人物デッサンのその3でした。今回は、教室への参加希望者2名の方が加わりアトリエは大賑わいでした。


先月のデッサンその2のとき以来、絵に少しつづ手を入れていましたが、教室に持参するといきなり先生から指摘をいただきました。いわく、「う〜ん、骨盤がしっかり描けていないですね・・・」。たしかに腰の辺りがあいまいで気だるく座ったときの骨盤の寝た感じが出ていないということです。
人物デッサンは、たとえ着衣であっても人体の構造を明確に意識して、骨格を表現する必要があるとのこと。


慣れていない人ほど、表面や細かいところにこだわりがちで、顔とか手とかの表情を描いてしまいます。デッサンは3次元のものを2次元に表現する訓練で、似顔絵ではないということですね。つねに3次元空間を意識しているか、光により物体が浮かび上がるわけですがその光と影の描き分けができているかなどが問われます。本職が彫刻家である先生は、立体構造やその表現に関しとても厳格です。


教室に出かける前に背景に少し手を入れていましたが、先生のコメントとして、背景を描くならば人物の周囲の空間をキチンと描くべきということです。そこで左側の光の差す側の空間、それに床面の意識を入れていきました。たとえ紙面が白く木炭をあまり刷り込んでいない面のように見えても、一度は描いてそして消した跡があったりするのがいいと。まったくの手付かずの紙面ではいけないということです。


水彩画のときにも同様なことを言われたことがありました。スケッチのような描く対象を記憶し想起させるだけでは絵画(タブロー)は成り立たなくて、その場合はしっかりと描きこみ画面に空白があってはいけないということです。描くならば、「画面のなかに対象を再構築しなさい」という考え方です。


また顔を浮き立たせるには、その背景を押さえ気味(トーンを落す感じ)にするとよいとのことです。つねに対象とその周辺との関係により奥行きとか配置関係が明確になるということで、全体に気を配らなければいけないのですね。


あとアドバイスされたこととしては、手の大きさが小さいとおかしい。手を少し大きめに描くと迫力が出てゆったりした感じになるとのこと。


ぼちぼち自分では、もう手を入れる部分はなくなったかなと思っていたら、ほどなく「ほぼ完成しましたね」という先生の言葉。3回にわたるデッサン教室は終了。筆を(木炭を)置きました。講評では、光が差している膝からスカートのトーンの調子が美しいといわれ、「やった!」という感じ。
標準的な木炭デッサンの完成にはだいたい10時間が必要とのことですが、今回もちょうどそのくらいになっていました。



木炭紙に木炭。


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