たぶん絵的なBLOG

画材店の店主がつづる絵画や画材のあれこれ

花火を見に行く

駒ケ根の奇祭ともいうべき「五十鈴神社三国花火」を見に行った。三国花火とは、天竺(インド)、中国、日本の3国の中でいちばんの花火という意味で、または三国一花火という言い方をする。この花火は地域の伝承技術により毎年自作されるもの。大きな筒状に加工した材木の中に、あらかじめ金属を仕込んだ火薬を順序よく押し固めて封をする。小三国が数本から8本くらい、大三国が1本作られる。大三国は、たしか重量200kgに達する大きなもの。


五十鈴神社の境内はとても小さい。それにもかかわらず、大量の花火を30分くらいの時間中に打ち上げてしまう。小さな境内の中で、獅子部と三国部と呼ばれる主役の若者たちが、どんぶりという服装でまといを回し、みこしを担ぎながら火の粉の中を踊り狂うのだ。浴びれば浴びるほど良いとされていて、かなり熱い祭りなのだ。


昨年はビデオに納めたが、今年は静止画で撮影を試みた。


踊り狂っている獅子部と三国部を見物人が取り囲んでいるため彼らの姿の全貌をとらえることはできないのだが、わずかに「まとい」が回されている様子がうかがえる。また「梵天」という房のついた棒状の道具も回されている。


三国花火に詰込まれる火薬は、さまざまな工夫がされていて、金属銅の破片を入れれば緑色に、アルミニウムを入れれば白色にというふうに色合いをコントロールする。また火薬の量や混合比により、爆発性の強い層を入れたりするため、1本燃え尽きる間に、色合いが変化し、ときどき大きく火の粉が吹き上げたりする。



大きく火の粉を吹いたときには、見物人の頭上にも幸運の火の粉がばら撒かれる。逃げまどう暇もないから、ありがたく浴びるしかない。薄手のナイロンのパーカーのようなものは穴だらけだ。


途中にはこのようなナイアガラ花火にも点火される。また突然足元から打ち上げ花火が打ちあがり、まるで戦場にいるかのような騒然とした場となる。


むろんかつて自分もこの三国花火を作り、そして火の粉を浴び、頭や腹にたくさんのやけど跡を作った。とても懐かしい花火なのだ。


にほんブログ村 ライフスタイルブログ 生き方へ
にほんブログ村