たぶん絵的なBLOG

画材店の店主がつづる絵画や画材のあれこれ

迷いに関するつぶやき

人生経験を積み先人に学び苦労を重ねれば、やがて迷いはなくなると考えている間は、迷いは尽きないという気がしている。努力により迷いのない世界に到達できるという考え方は、自分をたのみ、自力を信じる態度に他ならない。そんなに自分を信じ切れるのか?それほど自分の力は強大で、どんな問題も解決できる力を秘めていると?人間のできることとはそれほど偉大といえるのだろうか。現実にそれは証明できることなのだろうか。


努力による自力解決を頭に思い浮かべている間は、迷いはなくならないのではないか。その素朴な自信、検証もされていない「自然な無垢の自己信頼」というものが、そもそも迷いの発端なんじゃないか。自らの努力で迷いを脱し真実の世界に到達することができると考えること自体が、迷いなのではないか。


誰も意識して呼吸をするものはいない。寝ている間でも心臓は絶え間なく動き続け、血液を体内に循環させ、内臓は食べたものを消化している。必要に応じてホルモンを分泌したり、体温調節を行っている。それは果たして自分自身が行っているといえるのだろうか。意識し考えてそれら体のすべての働きをつかさどることはできない。それならば、それは誰がやっているのか。肉体が勝手にやっているとしか言いようがない。それは結局、誰がコントロールする仕組みを与えたのだろうか。


逆に迷いはなくならないものだと諦念に達したときが、迷いから離脱するときなのではないか。言葉にすればとても詭弁的に聞こえる。しかし自力解決などと、ちっぽけな刀を振りかざしていただけだったと気づくところから、本当の真実が見えてくるのではないか。よくはわからない大きな力というものがすべてを貫いているのに、それをおのれの思うがままにしようと考えることが迷いの始まりであり、苦しみの始まりと見るべきではないだろうか。



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