たぶん絵的なBLOG

画材店の店主がつづる絵画や画材のあれこれ

バランス

自分の経験から、描けば描くほど、どこかの神経が昂ぶって神経が先鋭化する。昔描いてソコソコ満足できたと思っていた水彩画が、まだまだ物足りなく感じたり、本当のところを描き尽くしていないと感じてガッカリする。ほんの入り口に立っただけじゃないか。なんとなく暗示しているだけで満足していただけじゃないか。


面と面のトーンのつながりや、位置関係など意識して描いたのか。描けたのか。そんな自問を繰り返して、疲れてしまったり、また描こうと思ったり。こればかりは妥協するわけにはいかない。あらたな決着の地点に到達するまではやめる訳にはいかない。


いちばん意識するのはバランスの問題。
明るさと暗さのバランス。色彩のバランス。いったい何次元の選択軸の中で決定をしなければならないのだろう。これだ!と思えるときは至福のときだ。たいていはその近くにいるのだけれど、ぐるぐる回るばかりでなかなか核心に触れていかない。もどかしいが、多次元の空間中で、泳ぎまわり求める答えの地点を探し当てる努力を続けるしかない。


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今日は、9月で定年になった職場の先輩のための小さな歓送会だった。どういう話題の移り変わりでそうなったかわからないが、画家という人種は自分が追い求める世界に没頭してしまって、得をするとかしないとかの世俗的な基準からするととても奇異な人種で、自分は絶対そんなのはイヤだし、なりたくもない!という意見が出ていた。
黙ってその話を聞きながらビールを飲んでいた。むろん自分が絵を描くなんてことは誰も知らない。さもそんな話題は関心がない様子に見えたことだろう。



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