たぶん絵的なBLOG

画材店の店主がつづる絵画や画材のあれこれ

永瀬清子さんという詩人

先日、書店の詩集コーナーに永瀬清子さんの最晩年の詩集『あけがたにくる人よ』が並んでいて購入した。1987年に初版が出て、その復刻版なのだろうか2008年5月31日初版第1刷となっている。


言葉の重みを感じる。派手なことはしないのだが、一球一球が重い。そして言葉に安心できる。


あとがきに、詩人が自らに課してきた詩の基準というべき言葉があった。

詩を書く事は自分を削り取る事です。
すこしも自分を削り取っていない詩は世の中に多い。みせびらかす詩、ことばだけの詩は更に多い。
しかしただそれらはこちらに乗り移らないのです。
つまり身を削っても人に乗り移る程のことを書きたい。
今はただそれも願いにすぎないのですが。


あとがき −いま、私は−  より p.123


ことばの重さをさらに味わいたくて、現代詩文庫1039『永瀬清子詩集』と、井坂洋子さんの評伝『永瀬清子』を買った。永瀬さんによれば、乗り移る経験を反復したいということだろう。