たぶん絵的なBLOG

画材店の店主がつづる絵画や画材のあれこれ

絵の具を練る

アクリル絵の具は水をあまり使わなくても描ける。もちろん水をジャブジャブに使えば水彩のようになるみたいだけれど、それなら水彩絵の具を使えばいい。
アクリル絵の具のチューブから出したばかりの状態の粘性はかなり高い。だから混色しても勝手に色が混じることはなく、こちらが力を使って練らなければならない。


じつはこの練るという作業がけっこう面白い。面白いのでつぎつぎと混ぜてみる。予想とはことなる発色になったりするとなおさら。
よく混ざらないこともあって、絵の具はキャンバスの上に乗せてみないと、色の加減がよく見えない。だからキャンバスの上でも練ってしまう。


水彩の混色とは効果が違って、白を混ぜないと暗い色調しか作れない。
水彩は紙の白の反射光をベースにしてそこに着色するのだが、アクリルは下地を完全に覆ってしまう。下地の白さは期待できない。そんなわけで絵の具自体に明るさを作り込む必要がある。だから白は水彩の場合の紙の白さ相当する役目をしている。
しかし白を混ぜる効果は、あまりにも色の激変を引き起こす。白を使いこなすのがポイントになりそう。


また、意外に風景画で使う緑はクセモノで、水彩のような色つくりのルールには従わないようだ。
色に対する感覚、混色の感覚が、自分の中で次第に変化しているのがわかる。これから、どうなるんだろう。