たぶん絵的なBLOG

画材店の店主がつづる絵画や画材のあれこれ

困難さと知恵と

結局その本は買わなかった。けれど、気になり何度となく書店で手にしてパラパラと見た。そのくらいこの斬新な宇宙旅行のアイデアは荒唐無稽で、無茶で面白い。
どうやって宇宙へ行くかって?地上から宇宙まで垂直に伸びる数百キロの高さの鉄柱を建築するのだ。しかしそんなものが安定に立っているのか?


静止衛星というものがある。地上との電波のやり取りをする衛星だが、周回軌道を回る速度と地球の自転の速度が合致すれば、周回軌道を回る衛星はあたかも地球と一緒に回っているので静止しているかのようにじっとしている。遠心力と自重による落下する力がバランスするのだ。複数このような衛星を打ち上げることで、通信衛星は全地表を視野に入れてカバーしている。


必要な高度と重量が得られれば、縦に立った鉄柱が地球の周回軌道を回り、かつ静止衛星のように遠心力と重力がバランスしていれば、安定して地表と連結していられる、という仕組み。実現すれば、この鉄柱を支えにした列車みたいなものに乗りグングンと上昇して宇宙空間に出れるというわけだ。いまは「宇宙エレベータ」と呼ばれているみたい。


スペースシャトルはそのたびに燃料ブースターを使って高度を稼ぐわけだが、この宇宙エレベータを使うと、燃料が90%以上節約できる計算になるそうだ。


どのように作るのか?どうも上から作るらしい。まあ作るという前提で考えると、宇宙から紐を垂らすように鉄柱を下に伸ばしていき地表に到達する手順で作ることになるだろうと。


こういうアイデアを聞くと、到底無理と思われていた困難さが、なんだか知恵次第で解決できるんじゃないかと希望を持つことができるんだな。
こうやって人類はいろいろな発明品を産み出して来たのは事実。困難さに直面して、突破するのは今手中にある手段だけだと狭めてしまえば、答えは生まれてこない。絶望は愚者の結論である、という言葉もある。